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未来の鬼平

長谷川平蔵は『鬼平犯科帳』でお馴染み“鬼平”、その人です。
旗本の父は火付盗賊改方※でした。
※ 放火、盗賊、賭博の取り締まり
平蔵が30歳のとき 父が亡くなり、後を継ぎました。
しかし、平蔵は「本所の銕」と呼ばれ、恐れられるほどの風来坊。
吉原で遊び、父の遺産を使い果たしてしまいました。

心を入れ替えた平蔵は老中“松平定信”に認められ、父と同じ火付盗賊改方になります。
この役職は、いわば中堅管理職。
平蔵はアクが強いためか上司や同僚に嫌われてしまい、多くの功績の割には これ以上の出世はできませんでした。
しかし 部下や町人達には気前よく振舞、慕われていたそうです。
彼の一番の功績は「人足寄場」を設立したこと。
刑を終えた軽犯罪者が自立できるよう、職業訓練をする機関でした。
菖蒲文様

平蔵は風来坊で遊んでいた時、「大通」(粋な江戸の人の意味)と呼ばれ、髪型や衣装に こだわりました。
ドラマでは その頃の平蔵の着物は「菖蒲文様」でした。
菖蒲文様

菖蒲の花や葉をデザイン化して描いた文様です。
5月5日の端午の節句に菖蒲湯に入る習慣が、今でも続いています。
菖蒲の強い香り、剣のように先が鋭い形の葉が邪気を払うと されているからです。
「菖蒲」は「勝負」「尚武」と同じ音のため、武家社会では男の子が勝負に勝ち逞しくなるようにと、甲冑などの武具に菖蒲文様が使われるようになりました。
この図柄が三角形の形をしているのも、古代から三角形には魔除けの力があると信じられているからです。
菖蒲文様には「邪気払い「魔除け」「立身出世」の意味があります。
左三藤巴

平蔵の家紋は「左三藤巴」でした。
3本の藤の花房が、巴の形に回転している図柄です。
「フジ」の音は「不死」に似ているため不老長寿の意味があります。
また藤の植物は繁殖力が強く「子孫繁栄」の意味もあります。